【ビバ飯ヒコ】飯伏とヨシヒコのIWGPタイトル戦を夢想する会

主にプロレス格闘技に関わることをつらっと

プロレスの虚実(舞台装置としてのプロレス会場)

はじめまして、「かい」と申します。

 

 当ブログは、プロレス・格闘技などの話題を主に、つらつらと綴っていこうと考えております。

 

当方がプロレスについてを語るとき、「創作されたもの」という側面について、より具体的に言及する場合があります。今回は、その前提について、読者様にその主旨をご了承いただきたく筆を取っています。

 

プロレスというジャンルにおいて、常にそういった側面は話の種に使われてきましたし、それらの話題を、プロレスへの揶揄として用いられることも多々ありました。

 

当ブログは「プロレスって超面白い」を大前提として書き綴っていますが、上記のような話を露骨に書く場面も多いため、新日本ブームに代表される、ここ数年で増えたご新規さんファンの方は不快な思いをされる可能性がありますので、ご理解ください。

 

舞台装置としてのプロレス会場

 

レフェリーは白痴であらねばならぬ

プロレスにはレフェリーという役割を担った者がいるが、このレフェリー、選手によってしょっちゅうひどい目に遭わされるし、いつだっておかしな挙動をする。

 

プロレスには「5カウント未満の反則は可能である」という超ルールが存在する。 更に言えば、レフェリーが見てさえいなければ、選手は何をやってもOKとされている。なんせイスを始めとした武器が使える。ときに現行犯で即時反則みたいなレフェリーのさじ加減もあるが、基本そういうものだ。そんな事を何十年も、もしかしたら百年単位でやってきた。 


近年では、レフェリーが視認していなければ反則行為けっこうOKなガチスポーツのサッカーでさえも(程度は服を引っ張っただのなんだのレベルだが)、VTRによる反則行為などの再確認が行われるようになったが、プロレスにはハナからそんなもの望まれない(一部それをネタにしたプロレス団体もあるが)。

 

選手の共謀者がレフェリーを引きつけて目線を奪い、リング上で堂々と行われる反則行為は、吉本新喜劇のズッコケ並みに古典中の古典の定番だ。レフェリーを技に巻き込み動けなくして無法地帯を作るのもしょっちゅうである。

 

 

 

選手、観客、実況解説者、セコンド、テレビ放送の向こう側の視聴者など、プロレス会場にあるレフェリー以外のありとあらゆる目が視認した反則行為が、「レフェリーのみが見ていない」という状況の前では取り締まられない。


ほかにも、レフェリーがカウントを取れない状況さえ作れればフォールカウントが数えられないという裏反則も頻繁に行われる。フォールされている選手がレフェリーのカウントの腕を押さえてしまったり、共謀者がレフェリーの足を引っ張ってリング上から引きずり下ろしたりするアレだ(ああなる直前のレフェリーのポジショニングを見るといろいろ面白い)。

 

そのようにプロレスのリング上では、「レフェリーが会場イチ白痴でなければならない場面」は多数存在する。


そういうおかしな何かを許容するプロレスというジャンルにおける観客は、「その曖昧なルールを根本的に整備する正しさは求めるものではない」という暗黙の了解を、個人差は大小ありつつ理解しながら、大本の大雑把さからあえて目をそらしつつリング上のヒールにはブーイングを送るという、ファンタジーと現実を行き来する「観客という役割」を担い、楽しんでいたりいなかったりする。

例えるなら、ドラゴンボール天下一武道会を読む、マンガを手に取る読者でありながら、ドラゴンボール内の天下一武道会会場の観客になり切る、舞台装置の中に入り込んだ、役割として観客になっていたりする。

 

コーラス隊としての観衆

ある、プロレス言語学者と言ってもいい方のグレート・ムタ的側面が書いた文章「Dr. Inside MOATのプロレス哲学講座・第二回 『悲劇の誕生』のおわり」というエントリをご覧いただきたい。 

www.kansenki.net

 

プロレスと、古代ギリシャ時代の演劇、その観衆にまつわる類似性について、ある考察を書いた優れたエントリになる。

当エントリは新日本プロレス暗黒時代直前頃書かれた文章で、新日について、そう認識して当然であるがごとき辛辣な物言いがされているが、時代背景の違いなのでスルーし、話の柱だけを上手く読んでいただきたい。

 

肝だけ抜粋すると、古代ギリシャ時代の演劇には「コーラス隊」という、舞台上の行いを現実として認識し、熱狂する役割の「観客役」がいたらしい。その働きを当エントリは以下のように説明している。

「コーラス隊の役割は観客と同じ感動を体験することではなく、舞台の上を現実として見て翻訳し、(舞台上を現実としてみない)観客と舞台の間に熱狂を繋ぐことにある。」

 

プロレスファンになりたての客や子供などは、こういった役割に非常に近しいポジションを担い、リング上の闘争に純粋に感動する熱量を会場に与える懸け橋的存在といえる。

 

例えば映画館において、没入感を得ている観客のスクリーンへの反応が大きい方が、一歩引いた観客も前のめりになり易いかのように。

 

当ブログのスタンス

当ブログは、プロレスの仕組みは明確にあるものと認識しつつ、時に舞台装置としてのプロレス会場で、プロレスを現実ととらえるモブ観客のような役割を演じたり、プロレスという創作された舞台装置がどのように創られているのかの解釈を綴ったりしながら、書き進めていこうと考えています。

 

それでは、ここまで読んでご興味の湧いた方は、これからもお付き合いください。

 

プロレスの内情についてがポジティブに露出されているメディアを、以下にとととっとピックアップしました。

 

 

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