【ビバ飯ヒコ】飯伏とヨシヒコのIWGPタイトル戦を夢想する会

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NOAHのサイバーエージェントG入りについて高木三四郎をフォーカス

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このニュースについては多角的な視点から語れますが、自分は、社長に就任した高木三四郎という人物にフォーカスを当てたところから綴ってみようと思います。

この高木三四郎社長、大学時代からビジネスの才覚ある人間で、父がテレビマンである才能を引き継いでおり、イベンターとしてその能力を発揮していました。

 

以下、wikipediaから引用。

大学3年生の頃、ちょうどプロレス熱が冷めて幼少期のテレビっ子ぶりが姿を見せるようになった。東京へ行ったらテレビに出たいとの願望があった高木は、大学の「テレビ番組研究会」に入会したのがきっかけで、スタジオ観覧車やエキストラを派遣するようになる。これを続けるうちに、メンバーの中から「自分たちでイベントを開催したい」と主張する者たちが出てきて、ある日麻生十番の「マハラジャ」で開催されたディスコパーティーに誘われて行ってみた時に、人が集まって一体になって盛り上がるイベントをお金を儲けたいという意識は二の次で開催したいと思い、こうして在学中に芝浦で手がけたイベントで3,000人の集客に成功する[2][1]

その後次々とイベントを手掛け、すでにプロレスラーになりたいとの意識は跡形もなく消えていた。既にどのディスコに行ってもVIPルームに通され、大手テレビ局のプロデューサーや芸能関係者から一目置かれる存在となっており、このままイベントプロデューサーの道に進むかと思われていた。肉体的には何ら身になることはなかった時期だが、代わりにプロデュース力、イベント成功させるノウハウ、さらには観客論と言った文科系の方で得たものはこの頃が最も大きかった。これについて高木は「ジュリアナ東京を使って飯島愛のイベントをやった時に、モニターがあるから使おうとなってオープニングVを作って流したのが最初でした。エンディングも、曲を流して盛り上がって終わりだったのを、自分たちはエンドロールを流してバラードチックな曲で締めたんです。だからDDTを始めて日本のプロレスで初めて本格的に映像を使ったのも、僕からすれば特別なことではなくてそれが当たり前な感覚だったんですよね。こうしたアイデアの元ネタは、やっぱりテレビであり、映画。ホイチョプロの作品やトレンディードラマって、最後はそういう感じでおわるじゃないですか」と後に語っている。

 

テレビ局の人間からも「高木君に声をかけるとすぐ人を集めてくれる」と信頼が厚く、就職先などいくらでもあったろうに、なぜかIWA格闘志塾を経てプロレス熱再燃。PWCに所属。退団後、DDTを立ち上げます。 

 

PWCでは代表の高野拳磁氏へ、ある大会での利益が大きかった流れで「これを元手に後楽園ホールへ打って出ましょう」と提案するも、「俺が全員のケツ持ちしてるから」という理由で高野がその利益の大部分を手元に入れてしまうなど、経営手腕を環境により発揮し尽くせない状況がありました。

 

その後DDT旗揚げとなりますが、この団体、ハナから既存のプロレス団体然としていない路線でファンを増やしていきます。クラブを使った試合で女子高生ファンを集めてみたり、のちに脚立やコタツなどの物までもがタイトルを獲得している、レフェリーさえ帯同していれば24時間どこでもタイトルが移動するルールの「アイアンマンヘビーメタル級」でコントのような試合をし続けたり、沢田研二にビジュアルが似ていてマムシデスマッチの経験があるポイズン澤田JULIE率いる「蛇界転生」というユニットを世に出し、年末ラストマッチである高木vs澤田の試合後に、映画「魔界転生」さながら、負けた澤田が自身の首を抱えて去る映像を流すなど(のちにマッスル坂井が、この映像が自分のその後の創作の柱になったと語る)し、マニア人気が広がり続けます。

 

あらゆるシーンがストーンコールドのパクリで行われる高木社長自身の試合は、長らくエースでいながら大して跳ねないものの(作家の内館牧子からは、経営は一流、選手としては別に、といった感じで評価を受ける)、その後の団体は、飯伏幸太ケニー・オメガという世界規模のトップスターをはじめ、男色ディーノマッスル坂井(スーパー・ササダンゴ・マシン)、石川修司木高イサミなど、各所で大活躍するトップレスラーの出身地として業界へ多大な貢献をし、路上プロレスやダッチワイフレスラーヨシヒコ、劇空間プロレスマッスルのような先鋭的なアイデアでマニアの心をつかみ続け、ついには日本武道館を満員札止め(本当にチケットが全部売れた)にする躍進を続けます(飯伏ヨシヒコ戦については、前田日明、HHH、リック・フレアーといった大御所たちが大絶賛している)。

 

飯伏とケニーが新日本へ移籍することで勢いは落ちるものの、芸能人の積極的起用で民放放送に進出したり、グループ内別団体の東京女子プロレスが大成功するなど、業界にネタを提供することにかけては常に異才を発揮し、ついに、サイバーエージェントグループ加入に至ります。

 

その経緯、高木社長がCA取締役である藤田晋社長に、DDTという団体をプレゼンしたところから始まるといいます。

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高木社長の強みは、この、どんな相手でも臆さず自分のしているものを胸を張ってアピールできるところにあると感じています。

 

当記事、藤田社長から高木社長への絶賛で終始します(笑)。

 

曰く

 

まったく凡庸ではない高木社長のアイデア、新規性は、本当にすごいなと。 

 

グループ入りをしていただいてから2年くらいが経ちますが、実は僕、少し焦りを感じているんですよ。この2年、DDTに対して僕らは何かできているんだろうかって。

 

もっとDDTの力になれるよう、僕もやれることをやり尽くします!

 

といった感じです。

 

 

今回のNOAH買収についても、藤田社長は「高木さんの経営者としての才覚は素晴らしく、彼にもっと大きな規模でやって頂きたいから」と所見を述べています。

 

CAグループ加入時に藤田社長がDDTを調べた件についても

「何でプロレス!?」と驚かれることはありましたが、狙いを話して納得してもらいました。反社(反社会的勢力)チェックなどをしても、まったく問題はありませんでしたし、 経営状態が「極めてきちんとしている」という報告を受けていました。実は、手続きを担当していた社員がプロレスの大ファンだったので、精力的に推し進めていましたね(笑)。

 

と、高木社長の経営が非常に優れていたと語っています。

 

新日本プロレスが現在の展開で成功する過程でのユークス買収直前の経営事情が

・どれだけ傾いても給料を見直していない

・資金の使い方がムチャクチャ

・経営陣が甘い汁を吸っている

などひどいものだったとサイモン猪木元社長が最近語っているように、日本1位の団体がレスラーメインの自前経営だった頃はそんな体たらくだった中、DDTサイバーエージェントほどの企業から優良だとお墨付きを得ているのです。

 

もちろん、DDTが飲食に手を広げる間にステーキ屋やカレー屋を潰したり、常に順風満帆だった訳ではありませんが、直ぐに損切りして別の店を立ち上げ、結果、エビスコ酒場やドロップキックで、選手の副業の受け皿、ファンとの交流の場として成功させるのは、経営才覚のなせる業でしょう。

 

新日本は映像コンテンツの世界展開を軸にブシロード経営となりここ数年ずっと右肩上がりと言われ、50億円規模の会社になり、辣腕ハロルド・ジョージ・メイ氏を社長に迎え、最近では親会社のブシロードがスターダムを傘下に収めて事業拡大を図っていますが、今回のNOAHサイバーエージェントグループ入りについて、プロレスのビジネス的拡大という視点で、高木社長は以下の記事で語っています。

 

headlines.yahoo.co.jp

 ――対新日本の意識は

 高木 正直、あります。「ずっと同じところがてっぺんにいても面白くないでしょ」というのが。我々が対抗勢力になることで、新たに生まれるものもあるかもしれないですし。こちら(サイバーエージェント傘下)にはノアがあって、DDTがあって、東京女子がある。あちら(ブシロード傘下)には新日本があって、スターダムがあるんですから。みんなそこを見ますよね。

 ――競争は激化しそう

 高木 中には「ブシロードサイバーエージェントの代理戦争なんじゃないか」って言う人もいるでしょうけど(笑い)。形はなんであれ、今回のことは明るいニュースとして報道されたわけですよ。だからより一層「プロレス界は、そこまで盛り上がっているんだよ」っていうのを世間に伝えないと。逆にそういうことを伝えるのが新日本さんだけじゃダメだと思う。僕らも世間に広めるっていう部分を担えるようにならないと。

 ――相乗効果を生む関係が理想だと

 高木 この例えが適切か分かりませんけど、ジャニーズさんとLDHさんなんかそうだと思う。交わらないけど、それぞれに話題をつくるじゃないですか。そういう形で市場を開拓していければ。ジャニーズとLDHがあって韓流は…WWEですかね(笑い)。

 

 

ここで大事なのは、高木社長が語るのは、新日本を敵視するのではなく、相乗効果による業界のパイの広がりについてという点です。

 

奇しくもメイ社長も、新日本の主力選手が大量離脱して立ち上がった新興団体AEWについて、「世界でのプロレスの市場規模が1000億から1500億規模に巨大化するような話で、業界全体が盛り上がるから喜ばしい」と述べました。

 

そういった一流が見る視座に極めて近いところに高木社長も立っているという事でしょう。

 

プロレスという事業は、1興行を行うだけでも、体を張った十から数十に及ぶ選手が、数百から数千、時に万規模に及ぶ観客を相手にするものです。

 

新日本プロレスですら、1興行あたりの利益率はまだ低い(15%程度)と算出しているレベルです。チケット販売率が全席比95%の新日本が、です。

 

当然、運営を続けるには経営が太いに越したことはなく、親会社に守られながら業績を上げた方が健全であるに決まっています。

 

故に自分は、今回の展開は、もろ手を挙げて喜んでいます。

 

(了)

 

 


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